【羽村市】羽村ゆかりの三人の匠が織りなす伝統と革新。漆、木、面。三つの道が創り出す新たな美。

羽村市のプリモホールゆとろぎ開館20周年特別記念事業として、この羽村市にゆかりのある漆芸家の並木恒延さん木工芸家の五十嵐誠さん面打ち師の新井達矢さんによる三人展が、2025年8月12日から24日までプリモホールゆとろぎで開催されています。2025年8月 3人展漆芸家の並木恒延さんは、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、卵殻(らんかく)といった漆芸の伝統的な技法を組み合わせた絵画的な表現で独自の世界を切り開きました。2018年に「月出ずる」で第75回日本芸術院賞を受賞しています。木工芸家の五十嵐誠さんは、針葉樹を彫るという独自の技法を確立し、「彫りやすい合理的な材料」をあえて使わないことで、今までにない作品を生み出しています。2021年には第68回日本伝統工芸展で新人賞を受賞しました。面打ち師の新井達矢さんは、室町時代から受け継がれてきた能面を忠実に再現するほか、能楽師や美術館からの依頼を受けて修復も手がけています。2025年8月12日の公開初日には、展示会場にて五十嵐さんと新井さんが作品の説明をしてくださいました。

2025年8月 3人展 作者

五十嵐誠さん(左)と新井達矢さん(右)

この作品は、漆芸家の並木恒延さんの代表作とも言える「蝉しぐれ」です。「まるで時雨が降り注いでいるような蝉の声も、岩が吸い込んでいく多摩川の盛夏」という作品説明がされています。漆の深みのある黒を背景に、銀粉で描かれた大きな岩の上に幼い子どもが座っています。この作品は、伝統的な漆の技法を用いながらも、現代的な感性で自然や人間を描く並木さんの作風を表しています。「蝉しぐれ」というタイトルは、静かな画面と対照的な夏の情景を想起させ、作品に深みを与えています。

2025年8月 3人展 絵1 この作品は「おとなびて」です。暗闇に浮かび上がる、帽子をかぶった子どもの姿が印象的な作品です。漆黒の背景に、漆で描かれた着物のような模様が繊細に表現されています。並木恒延さんは、漆を使って絵画のような作品を制作される現代の漆芸家です。この作品も、伝統的な漆の技法を用いつつ、現代的な表現に挑戦していることが伺えます。

2025年8月 3人展 絵2 この作品は木工芸家の五十嵐誠さんの「栃造四脚抽斗」です。波打つような美しい木目の栃の木を主材とし、まるで生き物が歩いているかのような愛らしい四本脚のデザインが特徴です。卓越した木工技術によって、各パーツの曲線や抽斗の取っ手まで丁寧に仕上げられています。五十嵐さんは、木材の魅力を最大限に生かし、遊び心のある造形で暮らしに寄り添う作品を制作されています。2025年8月 3人展 漆1 この作品は鯨をかたどった木馬「木工鯨」です。複数の木材が持つ自然な色や木目を生かし、ユーモラスで愛らしい鯨の形を表現しています。座る部分やハンドルなど、実際に遊べるよう配慮された造形が特徴です。木という温かみのある素材と遊び心を融合させる五十嵐さんの作風をよく表した、鑑賞するだけでなく触れて楽しめる作品です。2025年8月 3人展 漆2面打ち師の新井達矢さんの代表作である能面「深井」は、人生経験を積んだ中年の女性の憂いや深い情愛を表現しています。悲しみや苦悩を抱える母親役などに用いられ、頬の肉が落ちた彫りの深い表情が特徴です。羽村市在住の新井さんは、室町時代から伝わる伝統的な様式を忠実に再現しつつ、独自の感性で面を制作しており、この作品もその技量と繊細さが生かされています。2025年8月 3人展 面1 能面の「三光尉」は、厳かさと品格を持つ老人を表現しています。表情に浮かぶ微かな笑みと深い額の皺、そして植毛された顎鬚が、老人の年輪と知性をリアルに伝えています。伝統的な能面の様式を探求しつつ、独自の感性を吹き込む新井さんの高い技術力が融合した作品です。2025年8月 3人展 面2 羽村市にゆかりのある漆芸家の並木恒延さん、木工芸家の五十嵐誠さん、面打ち師の新井達矢さんによる「三人展」が開催されているプリモホールゆとろぎはこちら↓

取材にご協力いただきありがとうございました。

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