【羽村市】茅葺き屋根の下で祝う端午の節句、羽村・旧下田家住宅で「五月人形展」が開催中!
東京都羽村市の郷土博物館の敷地内には、幕末の面影を色濃く残す見事な茅葺き民家が佇んでいます。国指定重要有形民俗文化財である「旧下田家住宅」は、弘化4年(1847年)に建築された入母屋造りの歴史的建造物です。
青空の下、豊かな緑に囲まれた屋敷の庭先には、昔ながらの「むしろ」が広げられ、時が止まったかのような静謐な空気が流れています。内部では現在も囲炉裏に火が熾されており、燻された木の香りと共に、かつての人々の暮らしのぬくもりを肌で感じることができます。
建物の細部には、火災から家を守る「火伏せ」のまじないとして破風に刻まれた「水」の文字など、当時の人々の願いや知恵が随所にちりばめられています。羽村市が誇るこの文化遺産は、現代を生きる私たちに、自然と共に歩んだ豊かな生活の在り方を静かに語りかけています。

史跡案内板
この住宅はかつて同市内の羽村西にあった下田季吉氏の住居を譲り受け、移築復元されたものです。一時期は「四ツ間型」へと改造されていましたが、復元に際しては建築当初の「広間型」へと戻されました。約29坪(95.9平方メートル)の広さを持つこの家は、当時の一般的な農家の姿を極めて正確に伝えており、併せて指定されている1,210点もの生活用具や養蚕用具とともに、この地方の歴史を物語る貴重な資料となっています。

広間の囲炉裏
旧下田家住宅の広間に据えられた囲炉裏は、かつての農家の生活を象徴する中心的な場所です。現在も火が焚かれ、立ち上る煙が茅葺屋根を内側から燻し、防虫や防腐の効果をもたらしています。天井から吊るされた自在鉤には鉄瓶が掛けられ、周囲には柔らかな木の香りと温もりが漂います。揺らめく火を囲みながら家族が食事をとり、語り合った往時の暮らしの息遣いを、五感を通して現代に伝える貴重な空間となっています。

企画展「こいのぼりと五月人形展」
羽村市郷土博物館では、2026年4月11日から5月10日まで「こいのぼりと五月人形展」が開催されています。古民家「旧下田家住宅」の畳敷きの広間には、武者人形や勇壮な兜飾りが展示され、江戸時代から続く歴史的な空間に端午の節句の華やかさを添えています。茅葺き屋根の下で、伝統的な日本の風習に触れながら、季節の移ろいを感じられる貴重な機会です。入館無料で午後4時まで公開されており、散策の合間に立ち寄るのにも最適です。

畳敷きの広間に佇む伝統美
時を刻む広間の風景 黒光りする太い梁や柱に囲まれた広間には、歴史を感じさせる大きな掛け時計が掲げられ、その奥に端午の節句を祝う五月人形が静かに鎮座しています。開け放たれた引き戸の先には、柔らかな自然光が畳を照らす情緒あふれる空間が広がっており、古民家ならではの重厚な雰囲気と伝統工芸が見事に調和しています。

勇壮な五月人形と兜飾り
広間の一角には、精巧に作られた武者人形と煌びやかな兜飾りがケースに収められ、展示されています。黄金色の背景に凛々しく座す大将人形と、鮮やかな紫の忍び緒が目を引く兜は、どちらも子供の健やかな成長を願う象徴としての気品に満ちています。障子越しに差し込む温かな光が、その細やかな意匠をより一層引き立てています。

※取材にご協力いただき、ありがとうございました。
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