【羽村市】まいまいず井戸:春の光に包まれる鎌倉時代の知恵と桜の共演
「まいまいず井戸」は、東京都羽村市の五ノ神社境内にあるものが有名です。この地域独特の非常に興味深い構造をした井戸です。取材に訪れた2026年4月3日時点では、境内の桜が満開でした。
まいまいず井戸の特徴
「まいまい」とはカタツムリのことで、その名の通り、井戸の周囲を螺旋(らせん)状の通路がぐるぐると下へ向かっているのが最大の特徴です。武蔵野台地は地層が非常に厚く、地下水脈まで深く掘り進める必要がありました。垂直に深く掘る技術が未発達だった時代に、崩落を防ぎながら水場まで降りるために、このようにすり鉢状に掘り、その壁面に通路を作ったと考えられています。

東京都指定史跡「まいまいず井戸」
史跡案内板によると、東京都指定史跡である「まいまいず井戸」は、その形状がカタツムリに似ていることから名付けられました。地元では平安時代初期の創始という伝承もありますが、形態や出土品からは鎌倉時代の創建と推定されています。砂礫層地帯で垂直に井戸を掘ることが難しかった時代に、確実な給水を求めてこのようなすり鉢状の形態をとるに至ったと考えられ、隣接する五ノ神社とともに村落の中心として長く使用されてきました。江戸時代の元文六年には村中の協力で普請が行われた記録も残っており、昭和三十五年に町営水道が開設されるまで生活を支え続けてきました。構造としては地表面での直径が約十六メートルあり、二周半螺旋状に降りる通路を経て、底面の中心にある深さ約五メートルの垂直な井戸へと繋がっています。

五ノ神社境内の桜が満開
まいまいず井戸が位置する五ノ神社の境内では、見事な桜が史跡に彩りを添えています。歴史を感じさせる「東京都史跡 五ノ神まいまいず井戸」と刻まれた木柱の傍らで、大きく枝を広げた桜が薄紅色の花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませてくれます。青空に向かって伸びる桜の枝先と、その下に広がる井戸の独特な造形が調和する様子は、この場所ならではの春の風景です。古くから地域の生活を支えてきた井戸の傍らで静かに咲き誇るその姿は、時の流れを感じさせるとともに、散策の足を止めてひと息つきたくなるような、穏やかで情緒あふれる雰囲気を醸し出しています。

五ノ神社の社殿脇に咲く見事な桜は、歴史ある境内に華やかな春の彩りを添えています。静謐な空気の中で薄紅色の花びらが舞い、伝統的な建物や石碑と調和する姿は、訪れる人の心を和ませる情緒豊かな風景です。

五ノ神社の境内には、鮮やかな赤い前掛けと帽子を身にまとった六地蔵が並び、訪れる人々を慈しみ深く見守っています。その傍らには、独特の屋根の造形が印象的な「五ノ神薬師」のお堂が静かに佇んでおり、地域の信仰の深さを物語っています。春には背景に満開の桜が広がり、地蔵の赤色と桜の薄紅色のコントラストが、境内に穏やかで美しい情緒を添えています。歴史ある空間の中で、人々の願いを受け止めてきた石仏と建物が一体となり、心安らぐ風景を形作っています。

桜が見頃を迎えていた五ノ神社の境内の「まいまいず井戸」はこちら↓






