【瑞穂町】万葉の息吹と自然が織りなす「愛の歌」 瑞穂町郷土資料館けやき館でパネル展が開催中!

東京都

瑞穂町郷土資料館「けやき館」で、毎年恒例のパネル展「万葉集と山野草」が開催中です。令和8年4月4日から5月24日まで、2階展示ギャラリーにて「~草花に託した愛の歌~」をテーマに、身近な自然美と1200年以上続く万葉集の歌が融合した展示が行われています。
日本最古の歌集『万葉集』には、人々が自然に託して詠んだ様々な形の「愛」を詠んだ歌が多く収録されています。
このパネル展では、これらの歌を厳選し、隣接する耕心館の庭や狭山丘陵で見られる山野草の姿と重ね合わせながら、パネルで歌の背景や意味を分かりやすく解説しています。

2026年5月 万葉集と山野草 Wildflowers-1

森林インストラクターの久保田鷹光氏が撮影した美しい草花の写真が展示に彩りを添えています。パネルに添えられた山野草の鮮やかな色彩は、万葉歌人たちの繊細な情感を現代に蘇らせています。入場無料のこの施設は、9時から17時まで(第3月曜日は休館)開館しています。新緑の季節に、狭山丘陵の自然や文学、歴史に触れられる絶好の機会です。いにしえの人が草花に託した想いを、ぜひ感じてみてください。

2026年5月 万葉集と山野草 Wildflowers-2

万葉歌に息づく植物の情景「サネカズラ」の展示
『古事記』にも記載のあるマツブサ科の植物「サネカズラ(別名ビナンカズラ)」は、古くから日本人に親しまれてきました。男性用整髪料に用いられた歴史を持ち、万葉集では「さ寝(男女の共寝)」の掛詞として歌に詠まれています。
このパネルは、藤原鎌足が妻の鏡王女へ贈ったとされる万葉集巻二・一九四の歌「玉くしげ みむろの山の さな葛 さ寝ずは遂に 有りかつましじ」の解説です。歌は、美しい化粧道具箱を意味する「玉くしげ」や三輪山(みむろの山)に掛けて、あなたと共寝をせずにはいられないという情熱的な恋心を、サネカズラのツルが絡み合う性質に重ねて表現しています。パネルには、歌の背景にある男女の機微や、いにしえの言葉に込められた豊かな情感を視覚的に伝えるため、可憐な黄色い花、青い実、鮮やかに熟した赤色の実の写真が添えられています。

2026年5月 万葉集と山野草 Wildflowers-3

万葉集を代表する相聞歌と絶滅危惧種の植物「ムラサキ」
額田王と大海人皇子の贈答歌と、その象徴であるムラサキをテーマにした展示が開催されています。古代の貴重品である紫根の原料であり、薬用としても珍重されたムラサキは、現在絶滅危惧ⅠB類に指定されています。展示では、ムラサキの可憐な白い花の写真とともに、歴史に残る愛のやり取りを紹介しています。展示の中心となるのは、天智天皇が催した蒲生野での薬狩りの際に詠まれた二首の相聞歌です。

・額田王の歌(右側のパネル)
「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」は、茜色の光が差す紫草の御料地で、あなたが私に向かって袖を振るのを野の番人が見ていないか心配しつつも、胸が高鳴る様子を描いています。

・大海人皇子の返歌(左側のパネル)
「紫草の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我れ恋ひめやも」は、紫草のように美しいあなたを憎むことなどあり得ない、たとえ人妻(天智天皇の妃)だと分かっていても、恋い焦がれてしまうという、一途な想いを表現しています。

会場では、この二首の背景にある複雑な歴史的関係性や、古代の人々が「紫」という特別な色彩に託した深い思慕の情が分かりやすく解説されており、時を超えて胸を打つ万葉のロマンを今に伝えています。

2026年5月 万葉集と山野草 Wildflowers-4

夜に眠る「ネムノキ」に託された、二人の情愛と駆け引き
マメ科の植物「ネムノキ(合歓木)」は、夜になると葉が閉じることから、男女の共寝を連想させ、古くから親しまれています。「合歓」という漢字の由来も、共寝した男女の喜びを表す中国の用法です。万葉集には、ネムノキを詠んだ歌が3首収められています。展示されているネムノキの写真の周りには、大伴家持と紀女郎(きのいらつめ)の間で交わされた、機知に富んだ二首の贈答歌が飾られています。

・紀女郎の歌(右側のパネル)
「昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木の花 君のみ見めや 戯奴さへに見よ」は、昼に花を咲かせ、夜には恋に乱れて共寝するネムノキの花を、主君である私だけが見ていてよいものだろうか、あなた(戯奴)もご覧なさいという、親しみを込めて年下の家持をからかうような、少し挑発的でユーモラスな一首となっています。

・家持の返歌(左側のパネル)
「吾妹子が 形見の合歓木は 花のみに 咲きてくだしく 実にならじかも」が解説されています。あなたが送ってくださったネムノキは、ただ花が華やかに咲くだけで、きっと実を結ぶ(真実の愛へと進展する)ことはないのでしょう、という切ない本音をのぞかせた返歌です。

この展示では、歳の差を超えた二人の親密な関係性や、恋の駆け引きの道具として植物を粋に使いこなす、万葉人の知的な遊び心と豊かな感性が丁寧に紐解かれています。

2026年5月 万葉集と山野草 Wildflowers-5

瑞穂町郷土資料館けやき館では、恋の歌と山野草を重ねたパネル展「万葉集と山野草」が開催中です。
美しい写真と共に、サネカズラやムラサキ等に託されたいにしえの恋心を紐解きます。
時を超えたロマンに触れてみませんか。

※取材にご協力いただき、ありがとうございました。

瑞穂町郷土資料館 けやき館はこちら↓

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